
SEO対策(コンテンツSEO)においては、「検索意図を満たす」ことと同時に、「E-E-A-T」を意識することも非常に重要です。特に近年生成AIの精度が飛躍的に向上したことで、SEO対策において「E-E-A-T」の重要度がさらに増したとも言われています。
そこで今回は、SEO対策で意識すべき必須の概念「E-E-A-T」について、その概念の詳細と重要である理由等についてわかりやすくまとめていきたいと思います。オウンドメディア運営をこれから行う予定の方やSEO対策での集客にお困りの方の参考になれば幸いです。
<この記事を読むとわかること>
E-E-A-Tの概要
GoogleがE-E-A-Tを重要視している理由
AI時代にE-E-A-Tの重要度が増している理由
<筆者プロフィール>
日比 海里
株式会社トリッジ代表取締役 / WEBメディアディレクター・コンサルタント / デザイナー
デザイン・コンテンツ制作運用スキルをベースに、グラフィック・WEBデザインやオウンドメディア運営のサポートを通じてクライアントの課題解決・事業グロースを支援。
<目次>
SEO対策とは
まずそもそもの「SEO対策」という言葉の意味と定義を整理しておきます。SEO対策とは『Search Engine Optimization』の略称で、日本語では『検索エンジン最適化』と訳されます。
Googleは検索ユーザーに“良質な検索体験(=探している情報を素早く発見し、抱えていた悩みが解決される体験)”を提供するために、あらゆる検索ワードにおける検索結果を最適化しています。“検索結果を最適化している”というと少しイメージがしづらいと思いますが、これはつまり「検索ユーザーが探している・欲している物事に対して、その答えとなる適切な情報を検索結果に正しく表示しようとしている」ということです。
そのため、自社で作成したページ(=情報)を検索エンジンに正しく評価してもらい、ユーザーが検索エンジンを使って何かしらの調べ物をした時に上位に表示させることができれば、検索ユーザーのサイトへの流入機会・アクセスを増やすことができます。
このように、検索ユーザーが求めているであろう有益な情報を提供し、それを検索エンジンに正しく評価してもらって自社のWebサイト・ページを検索上位に表示させることで、多くのユーザーをサイトへ誘客するための施策を「SEO対策」と言います。
SEO対策において重要なこと
SEO対策(コンテンツSEO)を考える上で大切なのは「ユーザーファースト」の意識です。Googleのアルゴリズムは年々進化しており、単なるキーワードの羅列や被リンクの多さでは検索上位を獲得することはほぼ不可能になりました。
ではその「Googleにとってのユーザーファースト」とは何を指すのか。その点を以下にまとめていきます。
「良質な検索体験」をユーザーに提供するのが全てのベース
Googleにとっての“ユーザーファースト”のイメージをより具体的にいうのであれば、「Googleを使えば探している情報をすぐ見つけられる!(=それによって悩みが解決された!)という『良質な検索体験』を提供すること」と言えます。これがGoogleにとってのユーザーファーストです。
そのような良質な検索体験をユーザーに提供することができれば、もっとGoogleを使ってくれる人が増えるはず。そうすれば広告出稿をする企業が増えて、Googleの売上も上がるだろう。そんな世界をGoogleは目指しているため、検索ユーザーにとって『良質な検索体験』が提供できるようなコンテンツを検索結果の上位に表示させるアルゴリズムを組んでいます。
「良質な検索体験」を提供するコンテンツに必要な2つの要素
そんな「良質な検索体験」を提供するコンテンツを作るには、まず「検索意図」を満たす必要があります。ユーザーが検索を行う理由は、何らかの疑問を解決したり、特定の情報を得て抱えていた悩みを解決するためです。
そのため、ユーザーが「何が知りたくて・どんな悩みを解決したくて、そのキーワードを入力・検索したのか(=検索意図)」を正しく理解し、それに合った情報を制作・提供することが重要です。この検索意図が満たされていないと、現在のGoogleのアルゴリズムでは検索上位の獲得はまず不可能と言ってよいでしょう。
しかし、検索上位を獲得するためには、実際のところ検索意図を満たすだけでは十分ではありません。なぜならGoogleは「その情報が信頼できるかどうか」も重視しているからです。
ここで重要となるのが「E-E-A-T(タブルイー・エー・ティー)」です。この概念を理解し、コンテンツに反映させることで、Googleにより評価されやすくなると考えられます。
検索意図を満たすだけではなぜダメなのか
「検索意図」を満たすことは、Googleが目指す「ユーザーファースト・良質な検索体験」を提供するという点において非常に重要ですが、ではその検索意図さえ満たしていれば、それだけで本当に「ユーザーファーストな、良質な検索体験を提供できているのか」と言われると、そうとも言えないはずです。
なぜなら、ユーザーファーストであるためには「そのコンテンツの内容が、本当に信頼できるのかどうか」も大切だからです。
たとえば「風邪 初期 食べ物」で検索したときに「風邪のひき始めにおすすめの食べ物」のコンテンツが上位に表示され、それが検索者にとってちょうど欲しかった情報だったとしても、そのページに書かれているのが「本当に正しい情報なのか、信頼していいのか」は、また別の話ですよね。むしろ検索者も「確かにそれっぽいことは書かれているけれど…本当にこの情報は信頼していいのかなぁ?」と、気になるはず。

その時、もしこのページに嘘の情報が書かれていて、それによって風邪が悪化してしまったとしたら、きっとその検索者はGoogleに失望し、「なんだ、Google検索は全然信用できないじゃないか。Googleでは正しい情報が得られないなら、もう使うのをやめよう」と判断してしまう可能性すらあります。
特に今の例のような「健康」の分野や「お金(金融)」などの分野においては、誤った情報が載ったコンテンツが存在していると検索者にとって大きなリスクが伴います。そのためGoogleとしても「検索意図を満たしているかどうか」だけではなく、さらに「そのコンテンツの内容が信頼できるのかどうか(信頼度)」も厳しくチェックし、検索結果に並べなければいけないわけです。
その際にコンテンツ内容の信頼度を評価する基準として、Googleが設定したものが「E-E-A-T」(ダブルイー・エー・ティー)という概念です。
E-E-A-Tとは
「E-E-A-T(ダブルイーエーティー、イーイーエーティー)」とは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼)の4つの言葉の頭文字をとったものです。Googleはこの4つの視点で「コンテンツの内容が信頼できるかどうか」を評価します。

なお、Googleは「検索品質評価ガイドライン」という基準を公表していますが、そのガイドラインの中でもこのE-E-A-Tという言葉が頻繁に使われ、重要視していることがうかがい知れます。
それぞれ4つの視点について、詳しく見ていきましょう。
Trust(信頼)
E-E-A-Tの中で最も重要とされるのが Trust(信頼)です。どんなに専門的な知識があっても、検索ユーザーからの信頼が得られなければ意味はありません。そのため、「そのコンテンツの内容が正確で、嘘偽りがないかどうか、本当に信頼してよいかどうか」をGoogleはチェックしている、という視点がこの「Trust(信頼)」になります。
Authoritativeness(権威性)
Authoritativeness は、日本では「権威性」と訳されます。これは「コンテンツ制作者が、社会的に承認されているかどうか、知名度が高いかどうか」を評価する、という視点です。つまり、制作者がその道の権威として世に知られているかどうか、その度合いをGoogleはチェックしているというイメージ。
たとえば「ホームランの打ち方」というコンテンツを(野球未経験の)筆者が書いた場合と、大谷翔平選手が書いた場合なら、仮に2つの内容が全く同じだったとしても、Googleは大谷選手が書いた方をより評価・信頼します。なぜなら、「ホームラン」というトピックスにおいては、大谷選手の方がより社会的・世界的に認知されているし、知名度も高いためです。
それがこの「権威性」という評価軸。“その道の権威の人が作ったコンテンツの方をより信頼する”というわけです。
Expertise(専門性)
Expertise(専門性)は言葉のとおり、「コンテンツ制作者が、その分野に関する深い知識やスキルを持っているかどうか」を評価・信頼する、という視点です。そのため制作者の専門性が高いと判断されたコンテンツは、Googleからの評価も上がりやすくなります。
Experience(経験)
Experience(経験)は2022年末にGoogleが追加した新しい基準で、これは「コンテンツ制作者が、どれだけその内容に対して実体験・人生経験を持っているか」を評価する、という視点です。
なお、ここでいう『経験』とは専門性を示すような“業務上の経験”だけではなく、日常生活や人生における“一般人としての経験”も含んでいます。
たとえば『確定申告の正しいやり方』というコンテンツを作る場合、「多くの経験を積んだプロの公認会計士が制作すれば、そのコンテンツの評価は高くなる」ことは想像しやすいですよね。一方で『確定申告ソフトを使った確定申告のやり方』(例:弥生会計やFreee会計などの一般人でも使える確定申告ソフトを用いたやり方等)であれば、そのソフトを“何年も使用している一般人の口コミ”であっても、重要な経験としてGoogleはきちんと評価してくれるわけです。
そのため決して専門家でなければ経験は評価されないというわけではなく、一般人であっても有意義な実体験や人生経験を持っているかどうかが、この「Experience(経験)」においての評価基準になります。
以上の4つの視点でGoogleはコンテンツの「信頼度」を評価しています。それがE-E-A-Tという概念です。
ただし「E-E-A-T」は検索アルゴリズムではない
ここまでの内容で「E-E-A-T」の重要性についてはある程度理解できたかと思いますが、1点誤解してはいけないのは「E-E-A-Tは検索アルゴリズムではない」ということです。つまりE-E-A-Tの評価が直接的に検索ランキングに影響するわけではないのです。これについてはGoogleが公式に「アルゴリズム調整の参考に使う程度である」と明言しています。
それでもGoogleが順位決定の際に「ユーザーの良質な検索体験」を重視していることに変わりはなく、その上ではコンテンツの信頼度も非常に重要であることから、E-E-A-Tも検索アルゴリズム・順位決定の仕組みを理解する上では外せない要素と言えるのは間違いありません。
そのためE-E-A-Tを意識したコンテンツ制作が重要になります。
Googleは「誰が作ったコンテンツなのか?」が知りたい
Googleが「E-E-A-T」を重要視していることはここまでの内容のとおりですが、E-E-A-Tの4つの視点をみていると“あること”に気づくのではないでしょうか。それは、どの視点においても「コンテンツ作成者」が起点になっているのです。つまりGoogleはコンテンツの信頼度を推し量るために、「誰がそのコンテンツを作ったのか?」を非常に気にしているということです。
とにかくGoogleとしては「このコンテンツは信頼しても良い内容なのか?」を判断したい。ただ、Googleはあくまで“検索エンジン”であり、“あらゆる分野の専門家”でもないため、「どんなことが書かれているか」は判断できても、その内容が「正しいのか、それとも誤っているのか」は判断しづらいわけです(現在はGoogleのAIも精度が上がっていて、かなり判断できるようになってきていると言われていますが)。
そのためGoogleは「誰がコンテンツを作ったのか」を理解することによって、その内容が信頼できるかどうかを見極めよう(=信頼できる人が書いた内容なら、当然その内容も信頼できるだろう)としています。
その時に「信頼できる人(=Trustが高い人)」といえば、やはりその道の権威として世の中から認められているはず(=Authoritativeness が高いはず)だし、専門的な知識も持っているはず(=Expertise が高いはず)だし、その分野に関して多くの経験を積んでいるはず(=Experience が高いはず)。そのような人あれば信頼できるし、その人が書いた内容なら信頼できるはずだ、と判断するわけです。そのためコンテンツを作る際は「自身が信頼できる人間であること」をGoogleにわかってもらう必要があります。

ただし、わざとらしく「自分にはこんな権威性・専門性があるんだ!」とGoogleにアピールする必要はありません。あくまでコンテンツはユーザーファースト、ユーザーのために作るものです。ユーザーにとって有意義なコンテンツを執筆する・制作することを意識する過程で、自ずとE-E-A-Tが向上するような内容になるはずです。
AI時代のSEO対策においてE-E-A-Tの重要度が増している理由
AIによるコンテンツ生成が普及し、インターネット上にはこれまでよりも大量の情報が溢れ、AIで生成したコンテンツがこれからも増え続けると予想されています。そのような環境の中で、SEO対策(コンテンツSEO)においてはE-E-A-Tの重要度が今まで以上に増すと言われています。なぜなら、Googleは「本当に信頼できる情報を提供すること」により重点を置くようなってきているからです。
AIを使えば迅速かつ簡単にコンテンツを生成することができますが、それらのコンテンツは“実際の個人の経験”や“専門家の視点”が欠けていることが多くあります。そのためGoogleはE-E-A-Tをより重要視し、人間ならでは実体験を生かした「(AIでは届き得ない)本当に役に立つ情報」を提供したいと考えているのではないでしょうか。
そのため、今後のSEO対策においてはAIを活用しながらも、個人ならではの経験・専門知識を活かした(または複数を掛け合わせた)コンテンツ制作が求められるのではないかと考えます。
まとめ:E-E-A-Tへの意識が今後のSEO対策のキーに
今回は、E-E-A-Tとは何なのか、その概要と重要視される理由などをまとめてみました。
SEO対策(コンテンツSEO)においては、単に検索者の検索意図を満たすだけでなく、E-E-A-Tを意識したコンテンツ作成が重要です。特にこれからのAI時代においては個人としての権威性・専門性・経験(実体験)の充実度を示し、コンテンツの信頼度を高めることが、Googleの評価アップにつながるはず。これからSEO対策に取り組む方やオウンドメディア運営担当者の方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。
なお、弊社ではオウンドメディアを活用したコンテンツマーケティング・SEO対策などをご支援していますので、集客・流入に課題をお持ちの企業様は、お気軽にトリッジまでご相談ください。現状のお悩みをお聞かせいただくだけでも結構です。